Q&A
生物多様性に関する、各企業の取り組み状況と事例を教えてください。
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2017年2月に経団連がまとめた、経団連企業会員及び生物多様性民間パートナーシップ(JBBP)企業会員を対象としたアンケート結果資料(有効回答数:237社)によると、過半数を超える企業が、生物多様性に関する宣言や行動指針・ガイドライン等を作成し、事業活動への組み込みや関連技術開発等を行っています。また、約8割の企業が生物多様性に関する情報公開を実施しています。
生物多様性取り組みの重要性は広く認知
アンケート結果によると、生物多様性に関する宣言や行動指針・ガイドラインを作成済みの企業は約6割であり、「作成中」「作成計画あり」を加えると7割を超えました。「生物多様性」や「愛知目標」についての経営層の認知度も高い数値を示しており、企業として生物多様性に取り組むことの重要性は広く認知されていると考えられます。
図1:貴社独自の「生物多様性宣言」や、生物多様性に関する
「行動指針」「ガイドライン」などを作成していますか。
しかしその一方で、具体的な定量目標を設定できていると回答した企業は約3割であり、自社の事業活動と生物多様性の関係について定量的に把握していると回答した企業も5割弱に留まりました。
生物多様性の主流化を進めるうえでの阻害要因を聞いた質問では、「目標・指標の設定、定量化・経済的評価が困難」「事業の利益に結び付きにくい」「本業との関連性が低い」といった回答が多く得られており、企業として取り組むことの重要性は認識しつつも、本業や収益と密接に結び付く取り組みを進められていない企業は、まだまだ多いという実態がうかがえます。
図2:「生物多様性の経済的アプローチ」や「資源動員(資金投下)」に関連して、
活動または検討を行っている場合、その目的は何ですか。〔複数回答〕
本業と結び付けた生物多様性の取り組み事例
本アンケートには、「生物多様性に関する活動事例集」が添付されています。その中から、本業と結び付けた生物多様性の取り組み事例として、いくつかご紹介します。
企業名 | 内容 | 各社HP |
住友商事株式会社 | 渡り鳥に配慮した「バードフレンドリー®コーヒー」の輸入を推進 | ● |
株式会社ニチレイ | 粗放養殖されたブラックタイガーえびの収益金の一部を使い、マングローブ林の再生PJ実施 | ● |
関西電力株式会社 | 放鳥されたコウノトリが電線に衝突しないように電線等にカラーリング | ● |
株式会社島津製作所 | 「バイオミメティクス」を支援する計測機器を提供 | ● 本サイト インタビュー記事 |
鹿島建設株式会社 | 自然の恵みを活かしたまちづくりを実施 (いきものにぎわうまち) |
● |
マルハニチロ株式会社 | クロマグロの完全養殖への取り組み |
● |
生物多様性は、重要な課題として認識される一方で、企業にとってはなかなか本業と結びつけることが困難なテーマの一つです。しかし、今回取り上げた企業以外にも、企業が成長するほど、商品が売れるほど、生物多様性が向上するような取り組みを進めようとしている企業は数多くあります。そうした事例も参考にしながら、自社の強みを活かした取り組みを、すべての企業が模索していくことが求められています。
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参考情報
- 一般社団法人 日本経済団体連合会:「生物多様性に関するアンケート<2016年度調査結果>」
関連情報
執筆者プロフィール
木下 郁夫(きのした いくお)
アミタ株式会社
カスタマーホスピタリティグループ グループリーダー
企業向けのソリューション営業の経験をベースに、廃棄物管理に係わるシステムの設計・開発、業務フローの構築などに従事。現在はインサイドセールスをベースとする営業部門に所属し、更なる顧客満足度の向上を目指し、提案・サービス活動を行っている。
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