Q&A
CSRに取り組むには何からスタートすべきですか?
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まずは自社の様々な活動について社員と一緒に振り返って、整理し直すことをお勧めします。
今年の人事異動であなたが突然社長からCSR担当者に任命されました。まず何からスタートすればいいのでしょうか?今回は、CSR担当者になったけど何をすればいいのか分からない方へコンサルタントに頼まなくてもできる進め方をお伝えします。
全ての活動を俯瞰(ふかん)して活動を洗い出す。
おそらく本社や事業所では様々な活動がされていると思います。一旦、あなたが思いつく限り全ての活動を洗い出してみましょう。例えば、「会社近辺の清掃活動」「小学校への出前授業」「安全活動への取り組み」等、自分たちでは大したことではないと思っている活動でも構いません。CSR は決して多額の投資をして実施している活動ではなく、すでに継続的に実践している活動も多いのです。もしかしたらあなたが知らない草の根的活動が多くあるかもしれません。是非、あなたのまわりの社員に聞いてみてください。
そして全ての活動を洗い出したら、以下のような分け方で整理してみてください。
<活動の整理方法>
- 「攻め」の活動、「守り」の活動で分ける
- 環境、社会、経済というトリプルボトムライン(※1)で分ける
- 環境、社会、組織統治というESG(※2)で分ける
- ステークホルダーとの関わりという視点で分ける
- ISO26000(※3)に規定されている7つの中核主題で分ける
※1 トリプルボトムライン→ 企業を財務パフォーマンスのみで評価するのではなく、企業活動を環境・社会・経済という3つの側面から評価する―つまり、企業活動を持続的発展の観点から、経済だけでなく、環境と社会の側面からも総合的に評価する考え方
※2 ESG
※3 ISO26000
企業としてどの活動に集中していくのか?
おそらく全ての活動を俯瞰(ふかん)してみると、活動している目的が重複していることに気付くでしょう。今後はその場合にはどちらか一方に集中させていくことも考えていく必要があります。あくまでも経営資源(人・モノ・金・情報)には限りがあります。特に、中小企業は大企業と比較して、経営資源が豊富なわけではありません。「選択と集中」をすることでリソースの分散が避けられます。活動を見直す中で下記の視点で選択と集中してみてください。
- 自社で実施すべき活動なのか?
- 自社の本業に即したCSR活動になっているのか?
- 同業他社との差別化ポイントは?
- 自社だけのオリジナルな活動を実施しているのか?
企業のオリジナルな活動を生み出すヒントは「WHATではなくHOW」の視点で考えるべきです。例えば、工場での清掃活動は、実際にやる内容での差別化が出来なくでも、実施方法によっては他社との差別化が出来るはずです。決して多額な費用をかけなくても、是非、知恵を絞って自社オリジナルな活動を考えてみてください。そして、その活動を継続的に勧めていくことが貴社のCSR活動に繋がっていくことになるのです。
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執筆者プロフィール
猪又 陽一 (いのまた よういち)
アミタ株式会社
シニアコンサルタント
早稲田大学理工学部卒業後、大手通信教育会社に入社。教材編集やダイレクトマーケティングを経験後、外資系ネット企業やベンチャーキャピタルを経て大手人材紹介会社で新規事業を軌道に乗せた後、アミタに合流。環境・CSR分野における仕事・雇用・教育に関する研究。環境省「優良さんぱいナビ」、企業ウェブ・グランプリ受賞サイト「おしえて!アミタさん」、「CSR JAPAN」等をプロデュース。現在、企業や大学、NPO・NGOなどで講演、研修、コンサルティングなど多数実践中。
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