Q&A
廃プラスチックの輸入を、中国が2017年12月末までに禁止すると聞きました。その内容について教えてください。
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Peter von Bechen, pixelio.de
2017年7月18日、中国は世界貿易機関(以下、WTO)に対して、「2017年12月末までに廃プラスチックなどの固形廃棄物について、一部輸入を禁止する」と通告しました。日本からは年間で約140万tが中国に向けて輸出されています(香港経由を含む)。今後どのような影響があるのでしょうか。詳しく解説します。
なぜ、輸入禁止に至ったのか?背景と現状
下記の品目が通告により禁止対象となっています。
2017年末までに改定される、輸入禁止固形廃棄物リスト
(※うち、廃プラスチックについての記載部分を抜粋)(参照1)
カテゴリー | 税関商品番号 | 廃棄物の名前 |
生活由来の廃プラスチック | 3915100000 | エチレンの重合体のくず及び切れ端 |
3915200000 | スチレンの重合体のくず及び切れ端 | |
3915300000 | 塩化ビニルの重合体のくず及び切れ端 | |
3915901000 | PET廃破砕料及び切れ端、PETボトル飲料瓶(タイル)を含まない | |
廃PET飲料瓶(タイル) | ||
3915909000 | その他のプラスチック廃破砕料及び切れ端、廃光ディスク破砕料を含まない | |
廃光ディスク破砕料 |
禁止に至った背景には、廃プラスチックと生活ゴミが分別されないままプレスされたものなど、粗悪・悪質な貨物が大量に輸入されていることが挙げられます。中国はWTOへの通告にて、輸入物に汚染物質や危険物質が大量に混入することで環境汚染が深刻化していること、中国国内における人体や環境の保護のため、汚染度の高い固定廃棄物の輸入を禁止することを明記しています(参照2)。
また、同じく改定され、中国が発表した「輸入制限類の使用可能原料固体廃物目録」の廃プラスチックに関する内容について、「要求/注釈」の部分は今まで空欄でしたが、生活由来の廃プラが輸入禁止品目に追加されたため、「産業廃プラスチック(プラスチック製造、及びプラスチック製品加工過程において発生する熱可塑性裁ちくず、切れ端、仕損じ品などを指す)」という記載が追加され、本目録にて産業廃棄物に限定されています(参照3)。
輸入禁止による影響は
経済産業省委託事業のデータによると、2010年の中国の輸入廃プラスチックの再生利用量は、年間780万t程であり、そのうち日本からの輸出量は、香港経由含めて年間約140万t程度です(参照4)。一方、一般財団法人プラスチック循環利用協会の公表データによると、同じく2010年、日本国内の一廃・産廃を含めた廃プラスチックの排出量は、945万トンとされていますので、日本の廃プラスチック排出量の14.8%が中国向けに輸出されていることになります(参照5)。
国内の廃プラスチック排出の、一廃・産廃の割合は、およそ1対1となっています(参照6)。今回の中国の輸入禁止措置の対象は、生活由来の廃プラスチック、すなわち一廃に該当しますので、140万tの約半分の70万tが今回措置の対象と考えられます。70万tが一時的にせよ行き場を失う事態は、国内の廃プラスチックの流通全体に影響を及ぼしますので、一般廃棄物の市場だけではなく産業廃棄物の市場へも影響が広がりつつあります。
中国以外の輸出先を探る動きが活発化している側面もありますが、今回の中国の輸出規制も、環境保護や資源循環を強化しようという世界全体の大きな流れの中で行われるものであり、この流れはより広がっていくと考えなければなりません。今後、場合によっては処理価格の高騰や処理会社からの受け入れについて数量制限などが起こるかもしれません。万が一に備えて処理委託先の複線化も検討しておきましょう。廃プラスチックの安定したリサイクルの仕組みを構築するためには、やはり国内での利用拡大を進めていくことが必要不可欠となってくるでしょう。
参照
(参照1)中華人民共和国 環境保護部HPより:「禁止进口固体废物目录(日本語訳:輸入禁止固体廃物目録)」 一部抜粋
(参照2)中国によるWTOへの通告資料(WTOウェブサイトより)「The following notification is being circulated in accordance with Article 10.6」
(参照3)中華人民共和国 環境保護部 環境保護部 HP より :「限制进口类可用作原料的固体废物目录(日本語訳:輸入制限類の使用可能原料固体廃物目録)」P16-P17
(参照4)社団法人プラスチック処理促進協会「海外プラスチックリサイクル実態調査報告書」
(参照5・参照6) 一般財団法人プラスチック循環利用協会「2015年プラスチック製品の生産・廃棄・再資源化・処理処分の状況」P2・3「プラスチックのマテリアルフロー図」より
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アミタの再資源化工場では、廃プラスチックの高いカロリーに注目し、必要に応じて破砕/粉砕処理を実施。これらを、主に日本国内のセメント会社の原燃料としてリサイクルしています。(セメント製造の焼成工程で使用します。)
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関連情報
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執筆者プロフィール
弓岡 春菜(ゆみおか はるな)
アミタ株式会社
カスタマーホスピタリティグループ 西日本チーム
西日本エリアでのリサイクルの配車業務等を担当。お客様とのコミュニケーションを大切に、細かなサポートが好評。
米澤 理音(よねざわ りお)
アミタ株式会社
カスタマーホスピタリティグループ 西日本チーム
持続可能な社会を本気で目指すアミタの事業とその理念に共感し、入社。現在は、カスタマーホスピタリティグループ 西日本チームにて、リサイクルの配車連絡、非対面の営業などを担当。
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